ニート霊異記

人生詰んでる社会不適合

「1917 」 面白いが、アカデミー賞は取れなかったろう作品

「1917 命のかけた伝令」見てきました。

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めっちゃおもろかったです。

 

何より撮影手法がすごい。

全編ワンカット(と言うかワンカット風)で撮影しており、その手法が戦場の緊張感をリアルに味わわせてくれました。

見ているこっちも緊張するような場面が多々ありました。すごい。

 

戦争映画であり、アクションもあるため、撮影は相当難しいと思います。それでもこの手法でやろうと考えた人はすごいなと思います。

アカデミー撮影賞を受賞したことも妥当だな〜と感じました。

 

ストーリー展開は、伝令を届けるために二人の兵士が戦場を駆け巡るといったわかりやすいストーリです。特に設定など難しいことはない映画だったと思います。

 

全体を通して思ったのは主人公「スコ」の成長っぷり。

最初はぐちぐち言っていたのに、最終的には使命感に燃える立派な兵士になっており、目つきも鋭くなり、彼の成長と言うか変化を感じました。

 

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一方で、緊張感とかストーリーとかめちゃくちゃ面白いなと思ったものの、アカデミー作品賞は取れなくて妥当だったなと思いました。

 

私見だと、アカデミー賞作品賞を受賞する作品は、歴史物、社会問題を提起するもの、その他の3つに分類されると思っています。

 

歴史物で言えば例えば、「ラストエンペラー」、「英国王のスピーチ」。

社会問題で言えば、昨年作品賞を受賞した「グリーンブック」「ムーンライト」。

その他で言えば、「ロードオブザリング」が挙げられます。

 

「1917」はこの中で言えば、歴史物に相当すると思います。しかし、アカデミー賞作品賞をとった映画と「1917」には大きな違いがあると思います。

 

それは人へのフォーカスです。

 

例えば「英国王のスピーチ」では、吃音のジョージ6世が、最後は英国人の士気を高める立派なスピーチをすると言う話です。

その中には、ジョージ6世の吃音の苦労だったり、自分より立派な兄がアメリカに消えてしまい(今のヘンリー王子に近い状況)英国王としての資質に悩んだり、といったストーリーがあります。

苦悩、そしてそれらを克服することによる成長物語が物語の中核になってきます。

 

一方で、「1917」においては、主人公のバックグラウンドなどは、全くありません。最後のシーンで奥さんがいるとわかる程度です。

どんな苦悩を抱えているのか、どんな考えをしているのかほとんどわかりません。

そういった、人物を深堀ると言う点で、アカデミー賞作品賞には至らなかったのかなと思います。

 

しかし、全く素性がわからない仲間たちと協力し、死人などに対して同情することもできないという「戦争」というものをリアルに表すためには、あえて人物について深く描かないという手法が合っているなと思いました。

 

深くは描けないという性質の映画の中で、最初はなんで参加させられなきゃいけないんだ、みたいなことをいっていたスコが次第に使命感に燃えていくといったように、成長を描けている点はすごいなと思いました。

 

面白さ  ★★★★★